■日本の家と西洋の家
   
       
 

住宅についていろいろ勉強していくうちに、実に興味深いことに気が付きました。それは、日本の家と西洋の家は、まるで違う考え方でつくられていることです。この考えの違う家は、それぞれの地域で独自に進化し、発展し、現在の家つくりの考え方の基になっていること。これらを理解した上で自分の家のコンセプトを決めることが重要であることにも気が付きました。

日本の家
古来から日本の家は木と紙と土で出来ています。戸外とのつながりを大切に、四季の環境を積極的に利用する家つくりをしてきました。障子などはいい例でまさに戸外とは紙一重でつながっています。この場合断熱性を上げて外と中を遮断する考え方ではなく、暑いときには障子を全開ににして、外の空気を積極的に取り入れて快適に過ごすように考えられています。また寒いときは障子を閉め、雨戸なども閉めて、家族全員が一室に集まり、”いろり”などで局所的に暖をとる考え方でした。決して家全体を暖めるのではなく、直接的に火にあたることで身体を温めています。
このように日本の家はオープン思考でつくられており、自然の四季の変化を感じつつ、うまく利用してきたと言えます。

西洋の家
西洋の家は石や木などで出来ており、シェルター的な考え方でつくられています。外とは遮断して、密閉を良くして内部で快適に過ごせるようにつくられています。冬に使う暖炉は部屋全体を暖める考えで設置されています。またその暖炉は煙突へ上昇気流を発生させていて、結果的に暖炉に向かって部屋の空気が引っ張られ、自然と計画換気が行われるシステムになっています。よく見ると欧州の家は、窓が少なく小さいことに気が付かれると思いま。これも外との遮断を考えた場合に窓は少ない方がいいとの結果でしょう。欧州はもともと日照時間が短く、カラッとした夏、長い冬であり、夏の暑さよりも冬の寒さをどう快適に過ごすかの方が、大切だったのかもしれません。南仏や北米やなどは比較的窓も大きい家が多いですが、日本の昔の家ほど窓だらけではないと思います。
このように西洋の家は昔から外と内を遮断して計画的に換気して暖房し、快適に過ごす考え方だったようです。

現代の家
日本の生活様式も昨今の環境変化により、 西洋化してきています。家つくりでも日本間を設定する人が少なくなってきたように、椅子+ベッドでの生活様式に完全に変わりつつあります。都会生活では外部の空気を積極的に取り入れようとしても、残念ながら外は排気ガスや花粉などあまりいい環境ではありません。また家もオフィス環境のように、一年中部屋の温度を一定に保ち、寒くも暑くも無い快適な空間を求めているのも事実です。そうなってくると家自体の気密、断熱をきちんとして、内部ではエアコン常時稼動。さらに新鮮空気はフィルターを通して導入、計画的に換気をする生活を望む人が多いのではないでしょうか?つまり日本の古来からの考え方の家では、すでに今の日本環境にはマッチしなくなってきた、とも言えるのではないでしょうか?もちろん自然の空気を感じたいときには、窓を開けて積極的に換気すればいいのですが、家にいるほとんどの時間は窓を締め切って、内部環境を一定に保つ生活になることでしょう。

このようなことを考慮して、我が家の住居部分のコンセプトを決めていきました。

 

Zummy